メイガ類はチョウ目メイガ科に属する昆虫で、その多くは野外性のガで、農業害虫と知られているものも少なくありません。またメイガの仲間には、貯蔵穀類や穀粉、その加工品などを食するものもおり、いくつかの種類は世界的な食品害虫となっています。
ノシメマダラメイガはノシメコクガとも呼ばれ、全世界に分布し、最も著名な食品害虫として知られています。米ヌカや小麦粉などの穀粉を最も好みますが、穀類、乾燥果実、コーヒー豆、調味料、クッキーやチョコレートなどの菓子類、飼料やペットフードなど、極めて多くの食品から発生します。食害するのは幼虫のみで、成虫は餌をとらずに交尾、産卵します。年に3〜4回発生し、幼虫で越冬します。
ほかにスジコナマダラメイガ、スジマダラメイガも世界中に分布し、同じく穀粉や飼料などから発生します。カシノマダラメイガ、コメノシマメイガなども穀粉や飼料などから発生しますが、これらは古くなって変質したものを好むようです。ガイマイツヅリガは、沖縄と鹿児島にしか記録がありませんでしたが、近年、関東地方でも発生し定着しているのが確認されています(木村ら、2014)。
食品害虫に共通して言えることですが、餌となりやすい穀粉、乾麺、乾燥食品などは密閉性の高い保管容器に入れて保管します。こぼれ落ちた食品屑や穀粉の粉溜まりは早めに掃除し、発生源を無くすことが基本となります。特に米びつの周辺に米粉やヌカなどが溜まっていると発生源になりやすいので、日頃よく清掃しておきます。また、唐辛子などの調味料の外蓋が空いていると、ふりかけ穴から虫が侵入して中で幼虫が生育していることもありますので、注意が必要です。
成虫に対してはピレスロイド系の殺虫剤を噴霧すれば殺虫できます。虫が発生した食品にはエアゾールを吹きかけてただちに廃棄し、周辺を清掃します。室内を多数飛び回っていたら、市販の燻煙剤や全量噴射式エアゾールを室内に充満させます。これらは溜まった粉の中にいる虫までは全滅させることはできませんので、よく清掃した後で使用すると効果的です。
これらのメイガ類は、ガの仲間であっても夜に光に誘引されません。したがってライトトラップではほとんど捕獲できません。しかしノシメマダラメイガ用のフェロモントラップが市販されており、雄成虫の捕獲効果が非常に高いので、発生しているかどうかをすぐに知ることができます。また成虫を早期に捕獲することは、食品などへの混入異物を防ぐのにも役立ちます。普段なかなか気付きませんが、ノシメマダラメイガは一般の家屋の周辺にも高頻度で生息しています。なお、このフェロモントラップはスジコナマダラメイガ、スジマダラメイガにも共通して使用できます。