マメゾウムシとは、コウチュウ目マメゾウムシ科に属するものの総称です。
幼虫は植物の種子を食べて育ち、一部の種類が豆の大害虫となっています。これらは、野外に生息して畑の豆を加害する種類と、倉庫などに貯蔵された豆だけで繁殖を繰り返す種類があります。前者は一過性で終わることが多いですが、後者は屋内で発生を繰り返すことから大きな被害を招きます。
マメゾウムシの中でもアズキゾウムシは貯蔵アズキやインゲンの大害虫として有名です。体長は2〜3mmで、上翅は赤褐色で白色や黒褐色の複雑な模様があります。日本へは、アズキが中国から伝わった3〜8世紀頃に侵入したものと考えられています(安富・梅谷、1995)。25℃条件で産卵から1ヶ月間で成虫になり、アズキから羽化した成虫は絶食条件で交尾し、10日間に50〜60個の卵をまたアズキに産み付けます。1個のアズキ粒から複数の成虫が羽化します。したがって、気付いたときには、アズキを入れた袋や容器の中が虫だらけなっていることがあります。
ヨツモンマメゾウムシもアズキゾウムシとほぼ同じような虫ですが、背面には2つの紋が見られます。アズキゾウムシと同じように、やはり貯蔵されたアズキ、ササゲから何世代も発生を繰り返すことができます。
その他の種類としては、エンドウマメゾウムシ、ソラマメゾウムシが、貯蔵されたインゲンやソラマメに見られます。成虫の体色はエンドウマメゾウムシは、黒褐色に白い複雑な紋様があり、ソラマメゾウムシは灰白色〜茶褐色の甲虫です。収穫したインゲンやソラマメの豆の中でこれらの幼虫や成虫が生育しており、煮豆の中など調理した食材中や加工食品への混入異物として見出されます。成虫は貯蔵した豆から羽化しますが、羽化した成虫は貯蔵豆だけでは繁殖することはできません。これらは収穫前の豆に産卵されたものですが、羽化した成虫も豆の中の幼虫と同様に混入異物が危惧されます。
他の食品害虫と同様に、餌となる床にこぼれ落ちて溜まっている不要な豆は速やかに清掃・除去することが基本です。アズキゾウムシは屋内だけでなく野外にも生息していますし、一部の豆から羽化した成虫が産卵する餌を求めて分散しますから、豆類を保管する際には密閉性の良い容器に小分けして保管しておきます。長期間に渡って保存している豆類は、定期的に様子を見るようにすると虫の発生に早く気付きます。なお食用油を少量たらして攪拌しておくと、マメゾウムシの産卵を防ぐことができます。
被害が発生した豆類にはケイソウ土やゼオライトを散布すると羽化した成虫を殺すことができます。しかし、発生源となった豆は隔離して廃棄し、周辺の豆類はなるべく早く使い切るようにします。周辺には殺虫剤エアゾールを噴霧して、残存する成虫を駆除します。
成虫は光に誘引されますので、室内にライトトラップを設置しておくと成虫の発生の監視や捕獲に役立ちます。