コナナガシンクイはコウチュウ目ナガシンクイムシ科に属する昆虫です。ナガシンクイムシ科は、世界に500種が知られ、主に熱帯地方に分布し、日本には16種が分布しています。木材、竹材を食べるものが多く、チビタケナガシンクイなど木材害虫として有名な種類もありますが、食品害虫としてはコナナガシンクイが世界的に有名です。
コナナガシンクイは体長2〜3mm、赤褐色で、細長い円筒型の甲虫です。小麦、トウモロコシ、豆類などの貯穀や球根類や種子、乾燥ポテト、乾麺、ビスケットなどの食品を食害します。特に小麦の貯蔵倉庫などで大きな被害が発生します。
餌はデンプン質が主体となる食品に限られる点では、シバンムシよりも発生源が限られ、一般家庭では大量に発生することは少ないようです。しかし最近の関東地方の一般家屋を対象として行われた調査結果によると、数は少ないながらも比較的普遍的に生息していることが分かりました。
長期間にわたって保存する乾燥食品は、密閉性の高い容器に入れて保管します。床の隅や収蔵庫の中などに穀粉や食品がこぼれていたら早めに掃除し、発生源を除去することが基本となります。
保存していた食品に虫が発生していた場合には、虫が逃げないようにビニル袋に入れ、中にエアゾールを噴霧してから密封して廃棄します。食品屑の中に虫を見つけた場合も、エアゾールを噴霧して、虫と共に食品屑を全て廃棄し、その後で発生した場所をよく掃除します。
成虫に対してはピレスロイド系の殺虫剤を噴霧すれば殺虫できます。虫が発生した食品にはエアゾールを吹きかけてただちに廃棄し、周辺を清掃します。溜まった食品屑の中に生息していることも多いので、掃除機で隙間に入り込んだゴミをよく吸い取ります。掃除した後はすぐに掃除機内に溜まったゴミを廃棄します。市販の燻煙剤や全量噴射式エアゾールは、溜まった粉の中にいる虫まで全滅させることはできませんので、よく清掃した後で使用します。
なおコナナガシンクイのフェロモントラップ(捕獲器)が市販されており、このトラップを設置すると虫の発生を早期に知ることができます。