カツオブシムシ類(カツオブシムシ科)は世界に約700種、日本に40種ほどが分布し、その約半分が害虫として知られ、全国に広く分布しています。一般に乾燥動物質を餌とし、好んで鰹節や煮干しを食い荒らすことからこの名が付けられました。
カツオブシムシ類の主な食品害虫として、トビカツオブシムシ、ハラジロカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシが挙げられますが、後2者は衣類害虫のカテゴリで説明していますのでここでは触れません。トビカツオブシムシとハラジロカツオブシムシは、どちらも体長1cmほどの黒褐色の甲虫、よく似ていますが、腹面が前者では茶色、後者では白色です。これらは、硬い骨だけを残して肉の部分をきれいに食べるので、博物館などで小動物の骨格標本を作るのに利用されています。
カツオブシムシの仲間でもマダラカツオブシムシ属のキマダラカツオブシムシは、豆類などの貯穀や加工食品、チョコレートなどの菓子類を加害します。またこの幼虫の体毛が体内に入るとアレルギー性の疾患を生じさせます。
ネズミが家に発生していると、ネズミの死骸から多数発生することがあります。また殺鼠剤に混ぜた餌が発生源になることもありますので、長期間放置しないようにします。餌となりやすい乾物や乾燥食品などは密閉性の高い保管容器に入れて保管し、こぼれ落ちた食品屑などは早めに掃除します。ペットの餌も発生源になりますから、放置しておかないようにします。
剥製などの装飾品は日頃から注意が必要で、もし虫がついていたら、それをビニールで包み込み、その中に衣類害虫用の防虫剤を入れ、数ヶ月間は密封しておきます。
ゴキブリ用の粘着トラップやライトトラップを設置しておくと捕獲されます。トラップだけで防除することはできませんが、成虫の早期の捕獲に役立ちます。
成虫に対してはピレスロイド系の殺虫剤を直接噴霧すれば殺虫できます。虫が発生した食品にはエアゾールを吹きかけてただちに廃棄し、周辺を清掃します。被害が広がっている場合には、市販の燻煙剤や全量噴射式エアゾールを室内に充満させます。しかし清掃によって発生源を除去することがやはり最も大切です。