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害虫の特徴と防除

ダニ(7) 野外性のダニ

特 長

 マダニ類は、全国の野山に広く分布し、シカやクマなどの大型野生哺乳類や放牧牛に多数寄生するほか、多くの小型哺乳類や鳥類にも寄生します。
 ヤマトマダニやフタトゲチマダニなどは、人間に取り付くと脇の下や腹部など、比較的皮膚の柔らかな部分に口器を刺し込み、そのまま離れずに数週間の吸血を続けます。一度食いつかれると皮膚から離すことは困難で、無理に取ろうとすると口器のみが皮膚の中に残り、化膿してしまうことがあります。またいろいろな病気の病原体を伝搬することが知られています。
 ツツガムシはムシと名前が付いていますが、やはりダニの一種です。ネズミ等の哺乳類に外部寄生し、日本には100種以上が生息しています。このうちアカツツガムシ、タテツツガムシ、フトゲツツガムシなど数種類が、衛生害虫として知られています。いずれも河原や草原といった開けた場所に生息しています。生息密度が多い地域では、アシ原を通った際に刺されることがあり、水田や畑で仕事をしていて刺されることもあります。吸血するのは幼虫のみで、5月と10月に被害発生のピークがあります。
 ツツガムシ類による被害は、刺咬害のほか、ツツガムシ病の媒介があります。ツツガムシ病は病原体であるリケッチアを保有するツツガムシに刺されることにより罹患します。

防 除

 シカやクマが生息する野山を歩くときは、マダニに吸血されないように長袖・ズボンを着用し、素肌を露出させないようにします。また河川敷の草地や湿地にはツツガムシが生息していることがあるので、春または秋にそのような場所を歩く時には、長袖・長ズボンに長い靴下と長靴を履くようにします。農作業の時なども、同様な服装にして、なるべく素肌を露出させないようにします。そのような環境に入るときには、直前に露出した皮膚には防虫忌避スプレーを、衣類にはヤマビル用の忌避スプレーを塗布すると有効です。草原などに座る時には、レジャーシートなどを広く敷いて座るようにします。
 マダニやツツガムシが生息するような野山や湿地などを歩いた時には、帰宅したら早めに着替えて、衣類は洗濯し、風呂に入ります。虫刺されの痕や瘡蓋のようなもの付いていないか確かめながら、全身をよく洗い、痕があったらその後の体調の変化に注意します。発熱、関節の痛み、リンパ節の腫れ、頭痛などの症状が出たら、直ぐに病院に行って診察してもらいます。
 マダニに食いつかれてしまったら殺しても離れませんので、殺さないようにして病院へ行きます。食いついたダニは人の手で取るのは困難であり、無理をして取るとダニの口吻が皮膚中に残って化膿したり傷跡が消えなくなることもありますので、病院で医師に治療してもらいます。