イエダニは1913年にエジプトで初めて発見されたダニで、家ネズミの血液を吸うダニですが、しばしばヒトからも吸血し、昔から家でダニに刺されたと言った場合には本種を指すほど一般化しています。刺される部位は脇、腹や腰部、陰部、太股や足首など皮膚の柔らかいところが多く、その際非常にはげしい痒みを伴い、中には刺された跡の痒みが何日も続くこともあります。
イエダニは体長0.6〜1mmで、特に吸血後は赤〜黒褐色になるため、徘徊している姿が肉眼でも観察できます。
本種は主にネズミの営巣場所で繁殖するため、被害が発生した場所では必ずネズミの生息が見られます。したがって、ネズミの営巣場所が近くにある場合、またはネズミが営巣を放棄した時などに被害が増える傾向があります。
イエダニは殺虫剤に比較的弱く、ピレスロイド剤のエアゾールを噴霧すると殺虫できます。ネズミが徘徊しそうな場所や通路にはエアゾールを定期的に噴霧しておきます。密閉された部屋では、市販の燻煙剤も効果があります。ネズミの駆除も非常に大事で、もしネズミの巣を見つけたらすぐに除去し、エアゾールを噴霧した後で清掃します。
しかしダニの種類同定や駆除の相談は保健所や専門業者に依頼する方が良く、ネズミの防除や巣の除去も専門業者の方が安心です。皮膚の痒みや発疹についても、医師の判断に従います。