タカラダニは、「宝」ダニの意味で、この仲間には鮮やかな赤色を呈する種類が多くいます。この仲間は、自由生活性で、幼虫期には昆虫やクモなどに寄生しているものが多く、それらは寄主の体液を吸って満腹になると地上に落ちて若虫になります。
近年、家屋周辺でタカラダニが時々多数発生して問題になっています。従来ハマベアナタカラダニとされてきましたが、幼虫の発見によりまったく別種であることが判明し(芝,2001)、現在ではカベアナタカラダニ Balaustium murorum (HERMANN)と分類されています。この種類の生態についてはまだ解明されていません。体長 1mm前後の赤橙色のダニです。
4月の終わり頃から6月にかけて、ビルの屋上や壁面に大量に出現し、素早く動き回り、屋内にも侵入します。突然大発生して、暫くするとまた見かけなくなります。
生態が分かっていないので確実な予防対策はありませんが、コケが疑われているため、日頃、清掃や洗浄をすると良いかも知れません。人間に危害を与えることはないようですので、支障がないようなら、放置しておいても構いません。
屋内への侵入が心配される場所では、出現時期の少し前からコンクリート面を注意して目視観察しておくと、出現をいち早く察知できます。駆除する場合には、良く徘徊する面に残効性のある殺虫剤を吹き付けます。