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害虫の特徴と防除

木材の害虫(1) ヒラタキクイムシ

特 長

 一般に家屋害虫としてキクイムシと言った場合には、ヒラタキクイムシ科を指すことが多く、その主な種類はヒラタキクイムシです。
 このほか、種類を確かめずにナガシンクイ科やシバンムシ科の木材害虫も含めてキクイムシと称する場合もあります。家屋害虫に限らなければ、キクイムシ科の昆虫の総称ですが、これらは主に野外で生活し、屋内で繁殖することはありません。ここでは、ヒラタキクイムシ科の昆虫を扱います。
 ヒラタキクイムシ類の代表種であるヒラタキクイムシは、体長が3〜8mmと変異が大きく、茶褐色で細長い甲虫です。年1回発生し、成虫の寿命は3〜5週間程度です。成虫が脱出する時、木粉や糞を虫孔から排出するため、加害材の下に盛り上がった白い粉が見られます。これによって初めて被害に気が付くことがほとんどです。成虫は主に夜に活動します。
 アフリカヒラタキクイムシは、ヒラタキクイムシより高温の環境を好み、最近は暖房の普及により、国内で増えつつあるようです。ヒラタキクイムシより繁殖力が旺盛で、年に数回も発生します。成虫は日中に飛翔します。またアメリカヒラタキクイムシも関西で発生しており、最近になって国内に侵入したものと思われます。
 近縁種のケヤキヒラタキクイムシ、ナラヒラタキクイムシも各種広葉樹の木材を加害します。暖房の効いた部屋よりも、外気温に近い環境の木材に付き、最近の住宅では被害はあまり多くありません。

防 除

 家具やラワン材、合板を購入する際には、直径2mm程度の穴が空いていないかどうかと、木粉状の糞が排出されていないかどうかを注意して購入します。家屋内にあるラワン材についても、掃除などの際に木粉が排出されていないかを確認します。
 木粉状の糞が発見されたなら、その上の板や木材に直径2mm前後の穴が見つかるはずです。その穴に、殺虫剤のエアゾールを噴射し注入します。穴の周辺にドリルか錐で直径数ミリの穴を複数あけ、そこから薬剤を注入するとさらに効果的です。その際、エアゾールにピンノズルを付けると、木部内部にうまく注入することができます。さらにその周辺のやや広い範囲の木部表面にもエアゾールを吹き付けておきます。エアゾールによる表面処理は、木材内部にいる虫を殺すことはできませんが、新たな産卵を忌避させることは可能です。
 また室内に市販の燻煙剤や<全量噴射式エアゾールを処理し、部屋を密閉した状態で暫く暴露しておきます。木材の中にいる幼虫には効果がありませんが、羽化した成虫を殺虫することができます。またヒラタキクイムシの成虫はライトトラップにも捕獲されます。
 大規模な被害の場合には、専門業者によりガス薫蒸を依頼すると確実に駆除できますが、大掛かりとなり一般的ではありません。