家屋の木材を加害する害虫として、タマムシ科、カミキリムシ科に属する種類がいくつか知られています。
タマムシ類(タマムシ科)は日本に約200種が分布し、いずれも野外に生息しています。しかし、クロタマムシ、ウバタマムシがマツ材の梁や柱から穴を開けて出てくることがあります。これらは野外で丸太に産卵されたものが建材の中で何年もかけて生育し、羽化したものと考えられます。幼虫期間が長く、建築5年目に室内の梁から突然クロタマムシが10匹以上も出現し、直径1cm程の穴を多数開けられた事例があります。
カミキリムシ類(カミキムシ科)は日本に約700種が分布しており、やはりほとんどの種が野外で生活しています。イエカミキリは古くから家屋害虫として知られていますが、日本では小笠原・南西諸島に分布しています。
それ以外にスギカミキリ、ヒメスギカミキリ、スギノアカネトラカミキリはスギやヒノキの木材から、タケトラカミキリ、ベニカミキリは竹の内装材などから、ルリボシカミキリ、クロトラカミキリは各種の建材や木工品などから発生します。これらはいずれも野外で産卵されたものが、何年もかけて羽化してきたものです。またフジの生木を用いた室内装飾品からワモンサビカミキリが数10頭も出現した例もあります。
タマムシ類やカミキリムシ類は、見かけたらすぐに捕獲するかエアゾールを噴霧して殺虫し、生態系の錯乱を防ぐ意味でもむやみに屋外には逃がさないようにします。
室内の柱や梁の表面に生じた成虫の脱出孔には薬剤を処理し、木栓で穴をふさいで、目立たないように背景と同色にするなどして隠蔽します。
ライトトラップを設置しておくと、種類によっては羽化成虫が早期に捕獲されます。
美術品などの場合には専門業者に頼んでガス薫蒸処理を行うと、材の中の幼虫を全滅させることができる。