ナガシンクイムシは、コウチュウ目ナガシンクイムシ科の総称です。世界に500種が知られ、主に熱帯地方に分布し、日本には16種が分布しています。シンクイムシ(芯食い虫)の名の通り、穀物や木材の中に食い入って食害します。日本では、食品害虫のコナナガシンクイも重要ですが、ここではそれ以外の木材害虫の種類を取り扱います。
ナガシンクイムシ科の代表種のチビタケナガシンクイは体長約3mmの黒褐色の甲虫で、主に竹を食害します。成虫は春から秋に年4回発生します。他の木材害虫と比べて特徴的なのは、幼虫だけでなく成虫も材を食害する点で、いずれも竹材に穴をあけて食害します。竹材以外にラワン材なども食害することがあります。
近縁種のニホンタケナガシンクイL. japonicusやホソナガシンクイHeterobostrychus aequalisなども竹およびラワン材を加害します。
籐製や竹製の民芸品や家具および竹材、ラワン材などを購入する際には、直径2.5mm程度の穴が空いていないかどうかと、木粉状の糞が排出されていないかどうかを注意して購入します。家屋内にある籐製品や竹製品、竹材についても、掃除などの際に木粉が排出されていないかを確認します。
木粉状のものは竹材の下に発見されたなら、加害されている証です。なるべくならその竹材は廃棄して新しいものと交換するようにします。小さなものは、ビニルに包んで中に衣類防虫剤を入れて長期間密封しておきます。このようなことができない場合には、ピンノズルを付けたエアゾールを使用し、竹材の断面に明けられた穴に薬剤を注入し、竹の節の部分にはドリルか錐で直径数ミリの穴を複数あけ、そこに薬剤を注入します。また竹筒の中にもエアゾールを多めに吹き付けます。発生量が多い場合には全滅させるのは困難ですが、ある程度はこれで抑えることができます。また竹製品の表面と断面にエアゾールを噴霧しておくと、忌避効果が期待できます。
室内に市販の燻煙剤や全量噴射式エアゾールを処理し、部屋を密閉した状態で暫く暴露しておく方法もあります。材の中にいる幼虫には効果がなく、効果は高くありませんが、羽化した成虫の一部を殺すことができます。
大規模な被害の場合には、専門業者によりガス薫蒸を依頼すると確実に駆除できますが、大掛かりとなり一般的ではありません。