ノミ類は体長数mmの小さな吸血性昆虫で、成虫はほ乳類や鳥類に寄生、吸血します。ペストや発疹熱などの感染症を媒介し、世界で約1꼀種が知られ、国内では約80種が知られています。成虫は褐色で、普通、雄は雌より小さく、未吸血時には扁平で、よく発達した脚を有しており、特に後脚は長大です。世代は卵から幼虫(1〜3令)、蛹を経て成虫になり、幼虫はウジ虫型をしています。
最近の刺咬被害の原因種はほとんどがネコノミで、7月〜8月中旬頃に発生が集中しています。ネコノミは、体長が雌 2〜 3.5mm、雄 1〜 2.5mmで、全体に赤褐色を呈し、世界中に分布しています。夏期の気温が高い季節では、卵期、幼虫期、蛹期を各1週間程度で過ごし、1ヶ月内外で羽化します。飢餓状態にも1ヶ月以上耐えることができます。
ケオプスネズミノミは、体長が1.5〜2mmで、頭部や目が丸く、額や胸部に棘櫛がありません。クマネズミやドブネズミのほか、人をはじめ数十種の哺乳類から吸血します。
イヌノミは体長は雌3〜4mm、雄2〜3mm、頬棘櫛があります。ネコノミとは頭部前縁が強く丸まる点で異なります。幼虫は犬小屋の中やゴミの中に生息しており、イヌのほか多くの哺乳類、時には人を吸血します。
ノミが多い場所では白いズボンをはいて生息場所を踏査すると、たかりに来たノミを容易に見つけることができます。また、掃除機で隅々のホコリを取り、そのホコリを検査することでも確認できます。
野良ネコなど小動物の巣が近くにある場合には、それを撤去し、その後の侵入防止対策をします。ペットは常に清潔にしておき、ペットの寝床も定期的に清掃します。ノミの幼虫はゴミや埃の中に生息していますから、部屋の隅々まで清掃することが重要です。ネズミなどが生息している場合には、ネズミを駆除します。
駆除は、ペットの寝床やカーペットの裏、家具の隅、フローリング床板の隙間等を清掃し、その後でエアゾールを噴霧します。生息数が多い場合には、卵には効きにくいので、1〜2週間後にもう一度散布して幼虫を殺虫します。発生場所が特定できない場合や広い範囲に及ぶ場合には、家庭用の燻煙剤を使用します。
被害が大きい場合には、専門業者に防除を依頼します。