節足動物門 昆虫綱 ノミ目 ヒトノミ科Pulicidae
衛生害虫、吸血害虫、ペット害虫
体長は雌2〜3.5mm、雄1〜2.5mmで、雄が小さいのは「ノミの夫婦」の由来でもある。全体に赤褐色で、他種のノミより頭部がやや長く、前縁から頭頂部にかけてはゆるやかな丸みがある。頬棘櫛と前胸棘櫛の両者をそなえる。
全世界に分布し、日本全国に分布する。
成虫は雌雄ともに吸血する。吸血による痒みや皮膚の腫れは人によってかなり異なるが、普通はカ(蚊)より痒みが残り、数日間続く。
屋内では動物の巣やペットの寝床、大発生すると室内のチリの中にも見られるようになる。
幼虫は寄主の巣内のゴミの中などに含まれている有機物を食べて発育する。成虫のみが雌雄ともに吸血し、ネコに限らず人間や他の動物の体に取り付く。生息している場所では周年活動する。
成虫の寿命はおよそ2〜3カ月、この間吸血源に恵まれると1日に10卵以上、生涯に約400卵を産む(Osbrink他、1984)。卵は直径0.5〜1mm、短楕円形で淡黄色、真珠様の光沢がある。膠着性はなく、産み落とされた卵は寄主の巣内に落下する。幼虫は淡い黄色で、3齢で成熟して体長4mm余りになり、繭を作って蛹化する。気温が高い夏季では、卵期、幼虫期、蛹期を各1週間程度で過ごし、1ヶ月内外で羽化する。しかし、生育は環境条件によってかなり左右され、低温条件では1年以上を要することもある。成虫の寿命は2〜4ヶ月であるが、条件によってはかなり延びることもある。また、飢餓状態にも1ヶ月以上耐えることができる(大野、1995)。
ノミによる被害は膝から下を刺されることが多い。発生場所が特定できない場合、掃除機で念入りに清掃してから殺虫燻煙剤を使用する。