どんな虫にお困りですか?

害虫の特徴と防除

特 長

 カ類はハエ目カ科Culicidaeに属する昆虫で、地球上に人類が誕生するはるか前の1億5000年前には既に存在していたと言われています。現在では、世界に3000種以上、日本には113種が分布しています(田中、2014)。
 カ類の大部分の種類は吸血性ですが、吸血するのは雌だけで、雄は花の蜜や植物の露などを吸って生きています。幼虫は「ボウフラ」とも呼ばれ、水の中で生活していますが、発生する水域環境は種類によって異なっています。
 カ類は、人を吸血し、それによって「腫れ」や「かゆみ」を与える代表的な害虫です。そればかりでなくマラリア、フィラリア、黄熱、デング熱、脳炎など、恐ろしい伝染病を媒介するため、世界的に重要な衛生害虫となっています。近年は「西ナイル熱」の国内侵入が警戒されており、カ(蚊)はそのウイルス媒介者であることから、いっそう注目されています。
 害虫となるカ類には、イエカ類、ヤブカ類、ハマダラカ類などがあります。イエカ類は夜間に家屋に飛来し侵入して吸血します。主な種類としてアカイエカ、チカイエカ、コガタアカイエカなどがあります。ヤブカ類は林や墓地などに生息し、昼に吸血します。主な種類としてヒトスジシマカ、トウゴウヤブカなどがあります。ハマダラカ類の代表種はシナハマダラカで、農村地帯に多く、水田や湿地から発生します。

防 除

 排水管や側構にゴミが溜まって水はけが悪くなると、溜まり水からカ(蚊)が発生しますから、時々注意して清掃を行います。空き缶や古タイヤ、水はけの悪いゴミや廃棄物が屋外に放置されたままになっていると、そこに雨水が溜まり、アカイエカやヒトスジシマカの発生源になりますから、日頃の清掃が大切です。外に放置されている廃棄物は除去し、使っていないバケツや鉢受け皿などの容器は雨水が溜らないように伏せておきます。竹林が近くにある場合には、竹の切り株に水が溜まるとヤブカ類にとって最も適した発生源になりますから、切り株を土で覆ってしまうのも1つの方法です。ヤブカ類が多い墓地や林に行く時には、長袖や長ズボンを着用して肌の露出を避け、カ(蚊)の忌避スプレーを持参し、皮膚などに噴霧すると吸血被害を防ぐことができます。日中は成虫が植栽や下草に停留していますので、雑草が繁茂しないように草取りや除草を行います。成虫が多く発生した場合には、専門業者に依頼します。植栽や茂みなどにピレスロイド様剤を散布して駆除を行います。
 屋内によく飛来する場合には、網戸や防虫ネットを設置して侵入経路を遮断します。排水管のトラップ機構に不具合があると、そこからカが侵入して来ることがありますので、注意が必要です。チカイエカはビルなどの下水槽から発生したものがマンホールの劣化したパッキンの隙間、壁の排水管貫通口の周囲、壁の亀裂などを通じて侵入してきますので、隙間が見られたら修繕するか、パテやコーキング剤などで塞ぎます。
 道路際にある雨水マスが、家屋の周辺では最もカの発生源になり易い場所ですから、特に注意が必要です。幼虫(ボウフラ)は水面付近で生活していますので、発生が見られた場合には幼虫対策としてIGR剤や有機リン剤を投与します。下水槽などはなるべく定期的に点検するようにします。
 下水槽の成虫の対策として、格子状の蓋の場合には、防虫ネットを挟んで、上から蓋をすると、羽化成虫の出現や産卵を防げます。ただしネットのゴミの除去やネットの破損の修繕も必要です。下水層の中の成虫の殺虫には、マンホール内に蒸散性の殺虫プレートを吊り下げます。成虫が飛んで出て来る場合には、殺虫剤のエアゾールを噴霧します。
 室内に侵入したカ(蚊)に対しては、ライトトラップや電撃殺虫器も多少は効果がありますが、これだけで駆除することはできません。家庭用のピレスロイド蒸散器はカ(蚊)を殺すだけでなく、吸血阻害や忌避の効果もあります。
 大量に発生している場合には専門業者に依頼します。業務用の幼虫対策用の殺虫剤を下水槽などに投与すると共に、成虫対策として、ピレスロイド剤のミスト噴霧または炭酸ガス製剤の空間噴霧を行います。