ゴキブリ類(ゴキブリ目BLATTARIA)は3億8千年前に地球上に出現した古い系統の昆虫で、形態的に大きな変化をしないまま、現在もたくましく繁栄している昆虫です。コオロギやバッタ(バッタ目)やシロアリ(シロアリ目)に近い昆虫です。
ゴキブリの語源は「御器囓り」で、蓋付きお椀に齧りつく虫という意味であり、よく台所の食器周辺で活動していることに起因しています。英名はcochroachです。
ゴキブリは世界に4000種以上、日本には54種(外来種チュウトウゴキブリ、2014年に報告されたフタホシモリゴキブリを含む)が分布しており、その多くは九州以南の野外に生息しています。害虫として問題となっているのは、ゴキブリ科とチャバネゴキブリ科に属する種類で、ここではゴキブリ科の種類について扱います。
屋内で見られるゴキブリ科の種類としては、クロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリ、コワモンゴキブリ、トビイロゴキブリなどが知られており、この内ヤマトゴキブリ以外は全て海外からの移入種です。いずれもその容姿や動きなどが直感的に不快であり、最も嫌われている昆虫です。また病原体(食中毒菌や病原ウイルスなど)の伝播、食品などへの混入異物、食品や書物の食害、電気・通信機器の故障の原因になるなど多くの被害をもたらします。
ゴキブリ科の種類は飛ぶことができ、夜にベランダや窓などから屋内に侵入してくることがありますから、夜はサッシなどをきちんと閉めておくようにします。侵入後に屋内で繁殖させないためには、残飯や厨芥などをきちんと片付けて、清潔に保つことが何よりも大切です。台所に夜間生ゴミを放置せず、コンロの周辺や排水カゴについた食品の残渣は定期的に掃除するようにします。ベランダや家屋に接した場所に生ゴミを放置している場合には、そこを介して屋内に侵入することがありますので、時々保管状況を注意するか、予めその場所に殺虫剤のエアゾールを吹き付けておきます。
屋内にゴキブリが生息している場合には、よく目につく場所を探したり、粘着トラップをいろいろな場所に配置して、多く捕れる場所を知っておくと、その後の殺虫対策に生かすことができます。冷蔵庫やガス台、電気機器の周辺など、比較的暖かな箇所に集まる傾向があります。窓やベランダのサッシの周辺にエアゾールを吹き付けておくと侵入を予防することができます。また排水管を通じて屋内に侵入する場合もありますから、下水や排水系統も注意し、状況に応じて殺虫対策を行います。
時々見かける場所には、粘着トラップあるいは固形の食毒剤を設置します。虫を見つけたら殺虫剤のエアゾールを直接噴霧すると即効的に殺虫できます。ただし食毒剤や粘着トラップを配置した場所に エアゾールを吹き付けると、そこにゴキブリが寄り付きにくくなるので、あまり好ましくありません。多数生息している場合には市販の燻煙剤を使用します。燻煙剤で全滅させるのは困難ですが、即効的に少なくすることができます。粘着トラップや食毒剤はある程度少ない状態の時に使用すると効果を発揮します。
粘着トラップ1個当りに、毎日平均1匹以上の割合で捕獲される程度にまで発生していた場合には、専門の駆除業者に相談されることをお勧めします。