節足動物門 昆虫綱 ゴキブリ目 ゴキブリ科 Blattidae
衛生害虫、不快害虫、混入異物、文化財害虫、電気機器害虫、アレルギー
体長30〜40mm、全体に黒褐色で、脂ぎった光沢がある。 前後翅とも長くて腹端を覆う。若齢幼虫は黒褐色で、背面に白色の横帯がある。この特徴は成長に伴って消え、中齢幼虫では全体に光沢を帯びた赤褐色になる。
中国南部が原産地と言われ、熱帯から亜熱帯にかけて世界に広く分布している。日本国内においても本州を中心として普通に見られる。 暖房の普及に伴って分布が拡大され、現在ではすでに北海道にまで定着してしまった。
見た目が不潔で嫌悪感を与え、集合している様子はさらに不快感や恐怖感を抱かせる。そればかりか食中毒菌をはじめ各種の病原微生物を体表面や脚、排泄物などを通じて伝播する。また食品に迷入して混入事故となったり、電気機器類に多数侵入した場合には故障を引き起こす。排泄された糞は染みとなり、ゴキブリの中でも特に本種の糞汚染がもっとも被害が大きい。また和紙を食害し、古書や古い屏風などが被害を受ける。一般にゴキブリの死骸や糞はアレルゲンであり、吸い込むとアレルギー性喘息などの原因になる。
日本にはかなり古くから定着したと考えられており、一般家屋などに多い。クロゴキブリの発育経過は極めて不規則で、特に幼虫期間は環境条件によって著しく異なり、9〜12回も脱皮を繰り返して、1〜2年をかけて成長する。しかし条件を整えて集団飼育すると、半年で成虫になることもある。 成虫の寿命は4〜5ヶ月内外で、羽化後2〜3週間で最初の卵鞘形成が行われ、以後7〜10日ごと、生涯に17個前後の卵鞘を産む。卵鞘は黒褐色で、中に20〜30卵入っている。雌は.卵鞘を形成して4日日頃になると、これを暖かな物陰などに固着する性質がある。雄と交尾しなくても繁殖が可能である(単為生殖)。なお耐寒性は他のゴキブリよりも強いが、17℃以下では活動が鈍る。
クロゴキブリ(雌成虫)