節足動物門 昆虫綱 ゴキブリ目 ゴキブリ科 Blattidae
衛生害虫、不快害虫、混入異物、文化財害虫、書籍害虫、電気機器害虫、アレルギー
体長は20〜25mmで、体は全体的に黒茶褐色で体表は光沢が少なく、翅脈の網目様が目立って見える。雄は翅が長く尾端を超え、前胸背板の中央部に凹があり体型は細いが、雌は腹部中間までの短翅である。
日本の土着害中種で、東北、関東、北陸、近畿に分布し、中国地方が南限。近年は北海道、大分、宮崎からも発見されており、人為的要因によるものと推定される。なお、中国や韓国でも害虫として知られている。
見た目が不潔で嫌悪感を与え、集合している様子はさらに不快感や恐怖感を抱かせる。そればかりか食中毒菌をはじめ各種の病原微生物を体表面や脚、排泄物などを通じて伝播する。また食品に迷入して混入事故となったり、電気機器類に多数侵入した場合には故障を引き起こす。排泄された糞が染みとなって汚染する。また和紙を食害し、古書や古い屏風などが被害を受ける。一般にゴキブリの死骸や糞はアレルゲンであり、吸い込むとアレルギー性喘息などの原因になる。
一般住宅に生息するが、住宅付近の雑木林の樹液でも生活できる半屋外生息種である。近年は住宅の密閉度が高まり、屋内と屋外を行き来する生活が難しくなり、さらに屋外の樹林が消滅したりして生息環境の劣化が、市街地からの減少傾向の要因となっている。成虫の寿命は3〜6ヶ月で、平均16個の卵が入った卵鞘を4〜6日間隔で一生の間に約25回産む(緒方ら、1985)。雄と交尾しなくても繁殖が可能である(単為生殖)。幼虫期間は、好適な温度条件では4ヶ月〜1年であるが、実際には4〜9月に活動して幼虫で休眠するため、2年ほどかかる。
ヤマトゴキブリ