アブはハエ目、短角亜目、アブ科に属する昆虫の総称です。日本には約100種が分布しています(早川、1994)。ハエに体型が似ていますが、眼が大きく、触角は太く短く尖っています。最も大型の吸血昆虫ですが、雌成虫のみが吸血します。
小川、水田、沼、湿地などから発生するほか、種類によっては林、草地の土壌や朽木などからも発生します。卵は発生源近くの植物の葉裏などに塊状に産み付けられ、約1週間で孵化し、幼虫は土壌に潜って生活します。幼虫は微小昆虫など小さな小動物を食べ、短い種で約1年、長い種では3年ほどで成虫になります。成虫は年に1回発生します。
アカウシアブは7月中旬〜8月上旬が最盛期で、日中に吸血活動をします(早川、1994)。シロフアブは、田植え作業中に、幼虫による刺咬被害を与えます(早川、1994)。イヨシロアブは8月上旬〜中旬が最盛期で、早朝や夕方に激しく吸血します。キンイロアブも同時期に発生しますが、日中に吸血します。
種類によって吸血時間帯が限られていますから、アブの発生地に行く時には、種類などの情報を調べて、活動のスケジュールを調整します。発生場所に行く場合には、長袖、長ズボン、帽子、軍手を着用して肌の露出を少なくし、露出部には防虫忌避スプレーを噴霧し塗布します。また携帯用の蚊取り器や蚊取り線香を身に付けるとあまり吸血されません。多数がまとわり付いた時には、比較的広い範囲に噴霧できる殺虫剤エアゾールを噴霧すると殺虫できます。
刺された場合には、虫刺され用の軟膏を塗り、腫れがひどい場合は湿布をして冷やします。多数に襲撃されると症状がひどくなりますから、その場合には、病院で医師に診てもらいます。