どんな虫にお困りですか?

害虫の特徴と防除

カメムシ

特 長

 カメムシ類はカメムシ目のカメムシ亜目に属する昆虫の総称で、名前は外観が亀に似ていることに由来しています。
 刺激を与えると特有の臭気を出し、ヘッピリムシ、ヘクサムシと呼ばれて嫌われています。このにおいは胸部腹面の臭腺開口部から出され、少量では仲間を集める「集合フェロモン」として作用し、多量では危険を知らせて仲間を分散させる「警報フェロモン」として作用します。
 カメムシの仲間は、果樹や農作物の害虫となっている種類も多くありますが、ここでは屋内に侵入して悪臭を放つ種類を中心に取り上げます。越冬のために集団で家屋に侵入するもの、夏に屋内に徘徊して来るものや、夜の照明に飛来して家屋に侵入するもの、身近な所にいて触ると悪臭を出したり刺したりする種類を取り上げます。
 クサギカメムシは、体長約15mmの暗褐色のカメムシで、越冬のために晩秋に山間部の家屋に多数飛来します。東北、北陸、中部地方で最も侵入被害の多い種類です。
 スコットカメムシは、体長約10mmの暗褐色〜藍緑色で銅色光沢があるカメムシで、この種も同様に成虫が家屋に襲来します。東北地方北部や北海道では前種に変わって優先種となっています。個体数が多くて視覚的に不快なだけでなく、強い悪臭を放ちます。山間部のホテルなどでは、料理に入って食べられなくなったり、風呂に入って悪臭が体に付いたり、夜に布団に侵入して不眠にさせるなどの被害が深刻な問題になります。また洗濯物などに悪臭とともにシミを付けて汚染します。このような被害は晩秋だけでなく、越冬から醒める春も起こります。
 マルカメムシは、体長約5mmの黄褐色の丸い小型のカメムシです。住宅地周辺のクズから発生したものが、やはり晩秋や春に家屋に多数飛来して、悪臭や洗濯物等への汚染などで問題になります。山間部よりも都市郊外で被害が多いようです。
 ミナミマルツチカメムシ、ヒメツチカメムシ、ヨコズナツチカメムシなどのツチカメムシ類は、夏の夜に照明した後で床などを徘徊し、布団の中などに侵入することもあります。春〜秋に照明に飛来するカメムシ類ではチャバネアオカメムシが代表的な種類です。
 野外で比較的良く見るエサキモンキツノカメムシ、アカスジキンカメムシ、オオヘリカメムシなども触ると異臭を放ちます。ヤニサシガメなどのサシガメ科の仲間は、異臭のほかに、素手で捕らえると口器で皮膚を刺され、数日間は傷口が痛みますから、注意が必要です。

防 除

 クサギカメムシやスコットカメムシなどは、晩秋に日当たりの良い建物の外壁面に次々に飛来し、窓の隙間や換気扇口、給排気口などから屋内に侵入してきます。したがって、忌避性と即効性に優れたカメムシ用エアゾールを、外壁の表面全体には薄く噴霧し、アルミサッシの枠などの窓周辺部や換気扇口などには重点的に吹き付けて薬剤を塗布すると効果的です。また秋に家屋周辺の樹木の幹にむしろを巻いておき、翌春になったら取り外して焼き捨てます。
 屋内に侵入したカメムシは低温時には物陰の隙間に潜んでいますが、暖房などで室温が上がる度に活動を始め、室内照明の周りを飛び回ったり、天井や壁を徘徊します。上方に止まっている虫に直接噴霧したり、照明器具周辺部の噴霧処理を行うのには噴射力の強いエアゾールを使用します。
 個体数が多い場合には、市販の燻煙剤または全量噴射型エアゾールを室内に充満させた後、暫く室内を密閉しておきます。すると天井裏や隙間に潜んでいた虫が飛び出してきて床上に落下仰天します。これらには、完全に死んでいないものが多く含まれていますので、箒や掃除機で除去し、回収した虫はできるだけ早く確実に処分することが大切です。掃除器で吸い取った虫もそのままにしていると復活して這い出してきますから注意します。
 晩秋にカメムシの越冬集団による被害が生じた建物では、初春にも同様な事態が生じますので、簡易的に処理できるエアゾールなどはあらかじめ備えておく必要があります。
 住宅地域でのマルカメムシに対しても基本的には同様に対処しますが、低密度で長期間、家屋の周囲に見られることが多いようです。近所の空き地や荒地、道路脇にマメ科植物のクズが繁茂している場合には、そこが発生源と考えられますので、除草することが必要です。緊急の場合には園芸用の農薬を散布して殺虫します。
 夏場に照明に飛来して室内に入ったものは、すばやく捕らえて外につまみ出すのが1番良い方法です。しかし刺激を与えて捕獲に失敗すると悪臭を発し続けますので、我慢できない人はエアゾールを利用するのも1つの方法です。
 多数のカメムシが飛来する場合には、照明器を黄色い光を出すものや、近紫外線を出さないライトに変えたり、近紫外線遮光フィルムを窓に貼ると飛来を抑制できます。野外でカメムシを見かけた場合には、意味なく殺さないようにします。