節足動物門 昆虫綱 チョウ目 ヒロズコガ科 Tineidae
衣類害虫、文化財害虫、不快害虫
前翅長が約6mmで、全体が淡黄灰色で光沢があり、黒斑はない。幼虫は乳白色で、体毛は目立たなく、成熟して体長6〜7mmになる。
日本に広く分布すると思われるが、詳しい分布は不明である。イガより少ないが、本州各地では近年増えつつある。
幼虫が、絹織物や毛織物、羽毛、皮革などの衣料繊維を加害する。ナイロンなどの化学繊維や綿なども、汗や食品などで汚染された箇所を食害する。衣類に付着した有機物も好むので、多少汚れた衣類、繊維製品に被害が大きい。まれに配管の断熱材(ジュート)に発生することがある。
コイガの幼虫は、動物性繊維の主成分であるケラチンを消化できるため、毛織物、絹織物などの動物繊維、羽毛、皮革などを好んで摂食する。また、ナイロンなどの化学繊維や綿なども、汗や食品などで汚染された箇所を食害する。高温低湿度で被害が増大する傾向がある。
幼虫の巣はイガのようにしっかりしたものではなく、トンネルまたは筒型の雑なものである。驚くと巣筒の中に潜るが、巣の外にいることも多い。孵化したばかりの幼虫は、0.1mm以下の隙間でも容易に通り抜けることができる。イガと同様に鰹のケズリブシで飼育できるが、イガと異なりコイガの場合には植物質だけでも発育が可能である。しかし実際には食品お加害することはあまりない。
羽化した成虫は餌をとらずに交尾、産卵を行う。1雌の産卵数は約85個で、イガよりも多い(安富、梅谷、1983)。光には飛来せず、逆に暗い方を好む。静止した時は翅を屋根形にたたみ、その状態でよく歩行する。
毛皮コート・和服のような高価な衣服を入れてあるタンス・クローゼットには必ず防虫剤を入れておく。加害された服飾は速やかに捨てる。タンスや押入などの狭い空間なら樹脂蒸散剤を置く。