節足動物門 昆虫綱 ハチ目 スズメパチ科 Vespidae スズメバチ亜科 Vespinae
オオスズメバチ Vespa mandarinia japonica RADSZKOWSKI
キイロスズメバチ Vespa simillima SMITH
コガタスズメバチ Vespa analis insularis DALLA
クロスズメバチ Vepula flaviceps lewisii (CAMERON) ほか
刺咬害虫、有毒害虫
キイロスズメバチの働きバチは体長20〜28mmで、黄色の斑紋が占める面積の比率が大きい。胸背部には明瞭な三角形の黒色紋が認められ、腹部の模様は変化に富む。
オオスズメバチはスズメバチ属の中で最も大型で、働きバチは体長40mmに達する。
キイロスズメバチは日本全国に分布し、スズメバチ科のなかでは最も普通に見られる種類である。北海道のものは原亜種で、ケブカスズメバチと呼ばれる。
オオスズメバチも北海道、本州、四国、九州に分布する。主に森林環境を生息地として好み都市部には現れない。
スズメバチ類は大型で毒量も多いため、刺されると激痛を生じ、発赤腫脹も大きい。腫れは長く続き、完治まで数週間を要する。また毒量が多いため、アレルギー過敏体質の人が刺されてショック症状(アナフィラキシー・ショック)を起こす事例も多い。毎年国内で50名を超える人がこの被害症状で落命している。
スズメバチ属に属する昆虫としては現在7種が知られており、特にキイロスズメバチとオオスズメバチによる被害が多い。
この属に含まれるスズメバチにはいずれも黒色と黄色のダンダラ模様があり、昆虫としてはかなり大型である。スズメバチに刺される被害は晩夏から秋にかけて集中する。特にキイロスズメバチは都市部にも多く、近年は都市のマンションや一般 家屋にも巣を作って問題となっている。
本種の場合、越冬から覚めた女王は木の枝や軒下などに巣をつくり、産卵を始める。これらの卵からは、すべて4〜6週間後に働きバチが羽化出現する。食性は広いが、主としてガの幼虫などを狩って肉だんごとし、幼虫に給餌する。樹液や果実も好まれ、缶ジュースの残渣などにも飛来する。働きバチの出現と増加によって、巣は加速度的に大きくなっていき、秋頃には直径40cmを超え、ハチの総数も数百頭に達するようになる。この時期は攻撃性が非常に強くなり、巣に近づく人間を積極的に襲うようになる。この頃になると、女王の産む無精卵は雄バチとなり、受精卵からは新女王が生まれて、やがて結婚飛翔へと飛び立つ。巣は1年1代で放棄され、新女王以外は晩秋には全て死滅する。一方、交尾を終えた新女王は、朽木の中などで越冬する。