夜に照明に多数飛来して不快にさせる多種多様な昆虫がいます。野外で生活する昆虫たちは、生態系の多様性を構成する一員ですので、むやみに殺さないようにしたいのですが、家屋への飛来量が多過ぎたり、屋内に侵入した場合には防除の対象とせざるを得ません。
光に飛来する昆虫には、ユスリカやカゲロウ類、トビケラ類、カワゲラ類、ウンカ類、ヨコバイ類、ガガンボ類などもありますが、ガ類は大きくて粉が付くので1匹でも嫌悪感を生じさせます。
ガ類はチョウ目に属しますが、チョウ目はチョウ類(昼行性)とガ類(主に夜行性)からなる大きなグループで、世界で150000種以上、日本からは約5500種が記録されています。翅が鱗粉で覆われているのが特徴で、多種多様のガ類が、夜間照明に飛来します。種類によっては衣類の害虫(イガ類)、食品の害虫(メイガ類)、植栽から発生する有毒虫(ドクガ類)、植栽の害虫(アメリカシロヒトリ)など、いろいろな被害をもたらしますが、ここでは単に照明に飛来する一般的な昆虫としてガ類を扱います。
庭木や敷地内の植物が発生源になっている場合には、園芸用の農薬を散布します。
虫の飛来が多い時期になったら窓を開放しないようにし、網戸やサッシなどによって侵入を防ぎます。外壁や窓ガラスには、防虫忌避効果のあるエアゾールまたはスプレーを吹き付けておきます。光に誘引されて集まってきているので、屋外の照明を消すか、紫外線をあまり出さない照明、または黄色かオレンジの照明に変えます。窓ガラスから出る光が誘引する原因となっている場合には、近紫外線を遮断するフィルムをガラス面に貼ると飛来数を抑えることができます。虫の数があまりにも多い場合には、ライト周辺の外壁などにガ用エアゾールを吹き付けておきます。また外に光が漏れないような場所に、ライトトラップや電撃殺虫器等を設置し、集まってきた虫を捕殺します。
室内に侵入してきた虫は、屋外に追い出すようにするが、できない場合には不快害虫用のエアゾールを噴霧すると殺虫できます。天井など、高い場所や遠い場所に止まったガには、噴射力の優れたガ用エアゾールを噴射すると効果的です。