節足動物門 昆虫綱 シラミ目 ヒトジラミ科Pthiridae ヒトジラミPediculus humanus LINNE、ケジラミ科 Pthridae
衛生害虫、吸血害虫
ものにしがみつくように脚が発達し、翅が退化して寄生活動に特化した昆虫。ヒトジラミPediculus humanus LINNEの内、アタマジラミの体長は、雄が2.3mm、雌が3.3mmで、乳白色で斑紋がある。コロモジラミは、雄が3.1mm、雌が3.5mmで、乳白色。
ケジラミPthirus pubis(LINNE)は体長1.5mm内外で、カニのような形状をしている。
人間が住むところ、この虫が分布する可能性がある。 日本国内でも、外国旅行で現地居住者と接触した人や、外国人に付着して国内に虫が持ち込まれるケースがしばしばあり、突発的な発生が生じている。
取り付かれると吸血される被害がまず第一にあげられるが、伝染病の媒介者としても重要である。 コロモジラミは、発疹チフスや塹壕熟(五日熱)・回帰熱(再帰熟)を媒介する。発疹チフスと塹壕熟はリケッチアが、回帰熟はスピロヘータが病原体である。
外部寄生虫であるシラミ類は、種類により寄生する相手が決まっており、犬や猫につくシラミが人につくことはない(種特異性が高い)。不完全変態で翅はなく、幼虫、成虫、雌雄の区別なく一生を通じて吸血する。
アタマジラミは頭髪(まれに眉毛)に、コロモジラミでは衣服の縫い目や折り目に産み付ける。卵は白色で、産卵部位に粘着液でしっかりと膠着されている。孵化後した幼虫はそこで吸血し発育する。コロモジラミは長期間に渡って洗濯せずに着続けた衣服の中に潜り込んで生活し、アタマジラミは長期間入浴・洗髪しない頭髪・体毛に取り付いて生活する。 一回の吸血時間は15〜20分で、吸血量は1〜2mgである。雌成虫は、1日に5〜8個、生涯には300個の卵を産む。コロモジラミ、アタマジラミの卵は、30℃では6〜7日で孵化し、幼虫期間は15日ほどで、3回目の脱皮で成虫になる。雌は、羽化後3日日から産卵を開始し、成虫寿命は1〜1.5ヶ月である(安富・梅谷、1995)。
ケジラミは陰毛に産卵する。ケジラミの生育期間は卵期約1週間、幼虫期約2週間で成虫になり、成虫の寿命は1ヵ月弱である(安富・梅谷、1995)。