軟体動物門 腹足綱 マイマイ目 コウラナメクジ科、ナメクジ科
チャコウラナメクジ Limax marginatus Muller
ナメクジ Meghimatium bilineata (Benson)
園芸害虫、不快害虫
チャコウラナメクジは体長約70mmで、茶褐色をしており、背中に殻が退化した後が見られる。本種は戦後、米国より侵入し、土着したと考える。ナメクジは体長約60mmで、体の背面が灰褐色で黒褐色の小斑文と色帯がみられる。また、両種とも口はおろし金のような形状で、植物の表面を這いながら削り取るように食べる。
ナメクジ類は全国に広く分布し、人家周辺や落ち葉の中や草地に生息している。
ナメクジ類の経済的被害として農作物や家庭菜園の植物がかじられる被害が見られる。また、衛生的被害としては広東住血線虫が寄生しており、虫体が付着した野菜を生食し、広東住血線虫症を発症した例がある。症状としては髄膜炎や脳炎を起こし、頭痛、発熱、麻痺などの髄膜脳炎症状が出現する。
ナメクジ類は生活に多量の水を必要とするため、草地や石の下や落ち葉の下など常に湿った環境に生息し、植物質や腐葉土を餌としている。雌雄同体のため、単体でも繁殖が可能である。
チャコウラナメクジは春頃に50個ほどの卵を産み付ける。2〜3ヶ月の幼体期間を経て秋には成体となる。寿命は1年程と見られている(藤田、1959:奥谷、1988)。
ナメクジ類は気温の変化に関しては、低温にはかなり良く耐え、卵の状態では-15℃にまで耐えるが、反対に高温には弱く、30℃を超えると多くが死滅する(大串、1977)。