日本の代表的なシロアリは、地下を移動して木材を加害する「地下シロアリ」(ヤマトシロアリとイエシロアリ)ですが、ほかに乾燥した木材を加害する「乾材シロアリ」の仲間もいます。
レイビシロアリ科に属するアメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリが主な種類です。
アメリカカンザイシロアリは、有翅虫の体長が6〜8mm、兵アリは8〜11mmと大型です。乾燥した木材を食害し、加害材の孔から乾燥した砂粒状の糞を排出します。水を運ぶ能力はないのでイエシロアリのような巣や蟻道は作らず、加害場所そのものが巣を兼ねています。
1つのコロニーは小集団ですが、加害場所に複数のコロニーが存在することもあります。有翅虫の群飛は7〜9月の昼間に小規模に行われ、走光性はありません。
ダイコクシロアリは、有翅虫の体長は5〜6mm、体背面は黄褐色で下面はやや淡色です。兵アリは4〜5mm、頭部は黒色で後方は赤褐色を帯びています。胸部は暗褐色で腹部は赤褐色です。
有翅虫の群飛は5〜8月の夕方から夜にかけ何回かに分けて行われ、正の走光性があるため、燈火に飛来します。
家具や木材を購入する際には、乾材シロアリ特有の砂状の糞が排出されていないかどうか注意して購入します。家屋の周辺に放置してある木材についても、糞が排出されていないかを確認し、必要ない木材は早めに廃棄します。乾材シロアリ特有の糞は、窓の桟や柱の根元、壁の隅などに見られることが多いので、日ごろから注意しておきます。天井裏まで点検できれば調査の精度がさらに上がります。
糞が発見されたなら、糞の排出口を探し、その周辺にドリルか錐で直径数ミリの穴を複数あけ、木材の中にシロアリ用のエアゾールを注入します。その際、エアゾールにピンノズルを付けると、木部内部にうまく注入することができます。さらにその周辺のやや広い範囲の木部表面にエアゾールを吹き付けておきます。現在のところ、家屋の住人が、まめに糞を探して、そのたびにその木部にエアゾールを注入していく方法が最も安価で安全、確実な防除方法と言えそうです。
アメリカカンザイシロアリをはじめとする乾材シロアリの防除は専門業者でも難しく、ガス薫蒸する以外には完全に駆除することが困難です。